ツバサのセカイ語り物3
□瞳に映る想いと君と
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ファイの手首へ、そっと唇を寄せる黒鋼。
甘い香りにそそられてなのか、口付けずにはいられなかった。
「…香か?」
「そうだよ…」
蒼い瞳はすっと細まり、嬉しそうな笑みが言う…。
先程部屋に戻ったのは、この香水を付けるためだったと。
「…だって黒様。構ってくれないんだもーん」
「ああ、さっきは…気分じゃなかった」
「そう…。で、今は?」
かすれた声とともに、黒鋼のシャツのボタンを細い指が解いている。
互いの心音が乱れてきた。
ファイは黒鋼の胸元を肌けさせ、顔を埋めると舌先を使う。
無言の黒鋼はファイの髪を弄り、高鳴る鼓動に想いを焦がす。
ファイは黒鋼の心音が早くなっている事を、得意気な笑みをもって本人に告げた。
見上げた先の彼は、口の片端を吊り上げて言う。
「俺はまだ酔ってねぇ…」
しかし、興奮を押さえきれなくなった黒鋼が、瞬時にファイの項を掴んで反らせ、そのしなやかな喉に舌を這わせた。
「…っ…ちょっと待っ…」
ファイは突如起こった事に焦りをみせて抵抗する。
が、黒鋼は相変わらず仰け反らせたファイの喉やら首を舐め上げている。
「ぁっ……黒…様…」
自身を支える力をどんどん奪われてしまうファイは、遂に黒鋼の腕に躯を委ねた。
と同時にファイの喉に牙が立てられる。
「あぁっ!!」
一度強く黒鋼を押し返した腕は、ゆっくりと落ちた。
黒鋼の息が荒くなる。
ファイの首筋からも香る甘い匂いは、黒鋼を猛獣のように変えていた。
「…っ!」
もがくファイは、喉に激しく噛み付いて来る猛獣の頭に手を置く。
するとふと我に返る黒鋼。
「……なんだよ…」
ファイが涙目で訴えていた。
「痛い…」
「あ……悪ぃ」
見れば、白い肌の所々がうっすらと赤い。
黒鋼は腕の中の身を寝かせてやると、ファイの服を奪い始めた。
脱がされる者は抵抗しない。