novel

□Supernova
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打ち抜かれた。
アイツの偉を知ることは、己が限界を知ることだと思った。
だから、あそこで足を止めていたのに、其処が限界だとしてしまうことに堪らない自分を見つけた。

俺は今の侭で良いとあの時気付いたんじゃなかったのか。

踏み出すことは、只の一個にすぎない俺には耐えられることでは無いのを知っていたんじゃないのか。
そうして剥がれ落ちて剥がれ落ちて、糸のような優越感を作りだすちっぽけな俺じゃないか。

過ぎたことはもう答えを掲示しているのに。

(なんだ、この俺は。赤いのか、はたまた青いか、否、緑か、もしくは茶?いや、黄か……違うな。何か白のような気もするが、総ての色を孕んだような……あぁ、思い出したぞ、分かった、そうかそうだ、これがあの)











黒いな
黒い












全部
全て

俺を呑んだ?
いいや、何か違う、もっとこう



だれ?
誰だ、いま俺の肩を叩いたのは
そうするなら、俺を助けて
俺は、何がだめなの
あんなに、練習したじゃないか
こんなにおおきな軀じゃないか
猛禽に怯まなかったじゃないか
たすけて
黒いのが、泪を引っ張るんだ
俺は、
あぁ俺は









「花井、お前すげえよ。
オレ、こんなドキドキしたの、花井が初めてだよ。
勝負って、こんなにスリルがあるんだ
知らなかったんだよ、オレは
だから、花井すげえよ」






あおいなぁ
空があおい
お前も、一緒に、空みたいだ
眼のなかの星屑が太陽より光ってるんだよ
お前、ひとつのそらだなぁ


「なぁ、花井。
おまえ、どうして目がきらきらしてるの
いつもは、もっとつまんなさそうじゃねぇか。
花井も、ドキドキしたの?
じゃあオレ達、いいライバルだなぁ!
早くオレより野球上手くなれよ。
そしたらオレ、もっと強くなって、ぜってぇ花井に負けねんだ!!」


「おお!俺だっておめぇに負けねぇよ!
待たさねぇよ、すぐ抜かしてやるっての!!」

田島は俺のそらだから、
俺はその向こうの星になってやる!










Supernova

(俺を助けてくれたそらに、俺は星になって大事なことを教えてやるよ)

08.07.12.

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