†ダブルオー†

□天使
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プトレマイオス内はみんなとっくに寝静まる頃。

ロックオンは今まで仕事の確認やレポートをまとめるなどして起きていた。明日は非番だが、もし急に任務が入ったらと寝る準備にはいる。


コンコンッ

突然ドアがノックされる。

(誰だぁ、こんな時間に。)

とロックオンはドアを開けた。



そこには――――


パジャマを着た刹那が立っていた。


「あれ刹那、どうした?」

ロックオンはパジャマ姿の刹那を見れた喜びを押さえつつ聞く。


刹那はしばらく黙っていたが

「遊びに来た。」

と短く言うと勝手にロックオンの部屋へと入っていった。


(こんな時間に、しかも刹那が遊びに来たとはねぇ。)

ロックオンはとりあえず刹那を中へ通す。


刹那はさっさと部屋の中に入ったと思うと、部屋の隅の方に膝を抱え込んで小さく座る。

何だか見ているこっちが悲しくなるように儚く目にうつる刹那。


見ていられなくなったロックオンは後ろから刹那に抱き着いた。


「刹那、どうした?」

刹那があまりにも悲しくて何かに怯えているように見えた。



刹那はずっと黙っている。黙ったまま俯いて、何かを恐れている表情をしていた。


「刹那、何があった?言えって。」

ロックオンはそっと刹那の頭を撫でる。


刹那は急にクルッとロックオンの方を向くとガバッと抱き着いた。

「刹那!?」

刹那の行動に困惑するロックオン。


「夢…」

刹那がそう呟いた。

「夢?」

ロックオンが聞き返す。


「怖い夢、見た。俺が殺される夢。」


刹那のロックオンの背中にまわしている腕が微かに震えていた。


「そっか。」

ロックオンは自然と下唇を噛み締める。


(刹那、悲しむな。怯えるな。お前にはオレがついてるよ。)


そう口に出せたらどんなに楽だろう。今のオレには刹那を守ってやるなんてことを言えるだけの力なんてない。

オレは、弱いから…。


ロックオンは刹那を優しく抱き返し、また頭を撫でてやる。



しばらくそうしていたがロックオンはふと、もうすでに0時をまわっていたことに気付いた。

「刹那、お前もう寝た方が…。」

と言いかけたが、怖い夢を見た後は寝ること自体が怖くなるのを思い出した。また怖い夢を見るのでは、と思うと怖いのだ。


(どうすっかなぁ。)

ロックオンは考えるが今、自分は何をするべきか全くわからない。このまま朝まで刹那と一緒にいてあげるのか。それとも無理に寝かすのか。

いろいろ考えていたが急に背中に刺激を感じた。刹那が背中にまわしていた腕に力をこめたのだ。


「ロックオンと一緒に寝たい。」

今にも消えてしまいそうなか細い声。

ロックオンは
「いいよ。」
と答えた。

刹那がそう望むのなら何だってしてあげたい。


刹那が一瞬、安心したような顔を見せた。。



ロックオンはそっと刹那の腕をほどくと
「よいしょ。」
と刹那をお姫様抱っこをする。

「ロックオン///」

刹那は顔を赤らめて嫌がったがロックオンにしては逆効果だ。


刹那をベッドにそっとおろし、刹那を横にさせる。


ロックオンは部屋の電気を消し、ベッドの横にあるスタンドに明かりをつけた。


刹那に布団をかぶせ、ロックオンもその布団の中に入る。布団に入った瞬間刹那が寄り添ってきた。

刹那がオレを必要としている。いや、刹那はそんなつもりでここへ来たのではないのかもしれない。それでも、オレを頼ってきたのは事実。

すごい嬉しかった。

ロックオンは刹那の行動にドキッとしながらも、刹那の頭に手を添えて撫でる。

刹那は気持ち良さそうに目を閉じた。


(あはは、猫みてぇ。)

刹那を見てそう感じるロックオン。


刹那はだいぶリラックスしたのか、顔から恐怖の色が消えた。代わりにあるのは安堵の色。


ロックオンは安心し、そっと刹那を抱き込んだ。



幾分か過ぎたころ、刹那から寝息が聞こえてきた。

(もう寝たのか?)

そっと刹那の顔をのぞくと柔らかい顔をした刹那の寝顔があった。


(ほんと、可愛いよなぁ。)


ロックオンはこの寝顔をずっと守っていきたいと思った。


この天使のような寝顔を。


きっと守ってみせる。


ロックオンは刹那の頬に触れる。


ピクッと動くが、再び寝息をたてはじめる。

ロックオンはそっと刹那にキスをする。


刹那を守る。それだけの力を手に入れる。


そう、オレにとっての天使に誓いながら。


―――END →あとがき
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