†ダブルオー†

□幸せの意味
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静かにカップを置く。

カップの中の紅茶に波紋が広がった。

そっと瞳を開けると前には愛する人。


(きっと、こんなにも穏やかな気持ちでいられるのは君の存在のおかげかな。)

そんなことを静かに思うアレルヤ。


視線を感じたのかティエリアは窓から見える外の風景に向けていた目をアレルヤへと移した。

「なんだ?」

「穏やかだなぁ、と。」




喫茶店の中は人が少なく、店内にはBGMとして静かなメロディーが流れている。



今日は任務として地上へと降りた。地上を嫌うティエリアは地上に降りた途端にやっぱり不機嫌になった。

そんなティエリアを悟り、買い物へと連れ出したが突然雨が降ったので喫茶店に入ったのだ。


「ねぇ、ティエリア。」

「ん?」

頬杖をついたまま目だけをアレルヤへ向ける。

「ティエリアが幸せだなって思うのは、どんなとき?」

「何を突然……」


(そもそも、ティエリアが幸せだって思うことなんてあるのかな。)


ティエリアが幸せだとか言ったり、笑顔になったところなんて1度も見たことない。


「幸せって……。」

ティエリアはそれっきり黙り込む。




「幸せって、なんだ?」


ティエリアは本当にわからないと言うように首を傾げ尋ねる。


まさか幸せの意味を聞かれるとは思わなかったアレルヤは何て説明しようかと迷う。

幸せなんて言葉で説明するものでもないし。


「うーん、言葉で説明するなんて難しいな。」

「ではアレルヤが幸せだと思うときは?」

「え?」

(幸せかぁ。)


「僕が幸せだって思えるときは、君と一緒にいるときかなぁ。」

「…そうか?」


ティエリアは納得したような、でも腑に落ちないような顔で考え込んだ。


「やはり、わからない。」


ティエリアは肩を竦め、軽く首を横に振る。


「そっか、変なこと聞いてごめん。」


ティエリアは別に、と答えてまた視線を外へと移した。

アレルヤは再びカップに口をつける。

「あ、雨止んでる。」

ティエリアがポツリと呟く。

アレルヤはカップから顔をあげ、窓の外へと視線を移す。

「ほんとだ♪」

アレルヤはカップの中の紅茶を飲み干し

「じゃあ外、出よう?」


アレルヤはティエリアの腕を掴み外へ出た。
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