†ダブルオー†

□My Hearts
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「ねぇ、ハレルヤ。」

いつもは頭の中で会話するのに声に出して呼び掛けるなんて、と訝しみながらも

『何だ?』

と返事を頭の中で返す。



今、身体の主導権を握っているのはアレルヤだからハレルヤは頭の中でしか言葉を発せない。



「僕たちは、言わば二重人格ってやつだよね?」

『そうだな。』

当たり前のことを聞いてくる。そんなこと、とっくの昔から知っていたはずなのに。


「だからハレルヤは……その、僕が生み出した人格、ってことになるんだよね。だから……ハレルヤはいわゆる僕、なんだよね?」

『……かもな。』


痛いところを突いてくる、と思う。今までお互い理解していたが暗黙の了解と言うヤツで言葉にして相手に言うことはなかった。



「でもね、僕はハレルヤのこと……1人の人間として、見てるよ。」


『………』


何も言葉を返さない。いや、返せない。


「だから……その……1人の男の人、として見てる………。」


相当照れているのだろう。頬が熱い。その熱さが俺まで伝わってくるほどだ。



『んで、何が言いたい?』


「僕ね、ハレルヤのこと……好きだよ///」


『は?』



「えっと、おかしいよね///自分が自分のこと好きだって言ってるのとかわらないよね。でも……。」


それきりアレルヤは黙り込んだ。俯いて、何かを言葉にしようと奮闘しているようだ。


『まず、好きって……どういうイミでだ?』

よくわからない。アレルヤがここまで焦っている理由も―――。


「そ、そりゃあ、愛してるって意味で…!」

『俺を1人の男性としてか?』

「う、うん。」


はっ。
頭の中で軽く嘲笑してやる。


『俺には身体も何もない、ただお前が頭の中で作り出した人格にしか過ぎないんだぜ?それでも好きだと言えるのか?』

「僕はただ、ハレルヤっていう人格が好きなんだよ。」


『……そうか。』

俺のこの気持ちを伝えたらコイツはどんな反応を示すだろうか。

喜ぶ?


お互いに触れ合うことも出来ない。

話し合うのも頭の中だけで、だ。

そんなヤツを好きになっても仕方ないのに。

なのにコイツは堂々と胸を張って俺のことを好きだと言っている。

ただお互いに気持ちが通じ合っても、それまでの関係にしかならないのに。

何故、そこまで俺を好きだと言えるんだ。



アレルヤから愛おしいという感情が伝わってくる。

長年、同じ身体にいるからよくお互いの感情が伝わり合う。


恥ずかしくなる。

何の混じり気のない、1つの愛情がきちんとそこに存在して、そして伝わってくる。


きっとこの焦りもお前に伝わってるんだろうな。



本当に伝わったらしくアレルヤはクスクスと笑う。ほがらかで綺麗な笑い方をする。


俺には到底出来ねぇな。


『なぁ、アレルヤ。』

「ん?」

『もし、俺がお前に好きだって返事を返したら、お前はどうする?』

「どうするって?」

『俺は他のヤツとは違う。それ以上の見返りなんて無いんだぜ?』

「僕らの想いが重なったら、僕はそれで構わないよ。想いが通じ合うだけでも嬉しいから。」


『……。』


頭を落ち着かせる。こんなにも気が動転するのは初めてかも知れない。

多分、コイツに本当の気持ちを伝えるのも初めてかもな。



『俺は…俺もお前が好きだ。』



アレルヤは一瞬驚いた顔をしたが、再び笑顔になる。

「ありがとう、ハレルヤ♪」



俺らは、手を繋ぐとか腕を組むとか、キスを交わすとか抱き合うとか……。そんなこと出来ない。

けど、そんなことしなくても誰よりもいつも身近に感じることが出来る。

気持ちだってすぐに伝え合うことだって出来る。


だって、俺らの心は1つなんだから。





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