†ダブルオー†

□誕生日の意味
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いつものようにティエリアはアレルヤの部屋にいた。
毎度のようにお互い話すわけでもなく、ただ同じ部屋にいて僕はベッドの上で読書を、アレルヤは報告書を仕上げていた。

0時をまわった頃だろうか。
突然アレルヤの部屋のドアが叩かれた。
僕もアレルヤも一斉にドアの方を向く。

「誰だろうね?」

アレルヤが腰をあげてドアへ向かう。
僕はドアの方へ意識を向けながらも、また読書を始めた。

ドアを開いた音がした後、話声が聞こえてかた。

「アレルヤ!HAPPY BIRTHDAY!!」

「誕生日おめでとう、アレルヤ」


――ロックオンと、刹那の声?

アレルヤの喜ぶ声も聞こえる。

――誕生日、だったのか。

僕は自分の誕生日を知らない。
別に自分の生年月日なんて僕には必要のない情報だ。
だからアレルヤの誕生日なんて知ろうともしなかった。

しばらくしたあと、アレルヤが嬉々として戻ってきた。

「ロックオンと刹那だったみたい。びっくりしちゃったよっ。プレゼントまでくれたんだよ!この本ずっと読みたかったんだけど中々地上に行けなかったんだよね。」

なんて声を弾ませながら話すアレルヤ。

なんだか申し訳なくなって、悔しくなった。
誰よりもアレルヤの傍にいた。
それなのに僕はアレルヤの欲しい物すら知らなかった。

「すまない、アレルヤ。」

――僕はどうしたら良いのだろうか。

「え、どうして?」

頬を緩ませていたアレルヤだったけれど僕を見るなり真面目な顔になる。

「僕は、今日がアレルヤの誕生日なんて知らなくて…その上プレゼントなんて何一つ用意していない。」

アレルヤから目を反らした。
自分の足元に視線を移した。
惨めだ。

アレルヤがそっと僕に腕をまわした。
腕の中にすっぽりとはまる。

「ティエリア。僕はね?」

耳元で囁くアレルヤ。

何故だろう。
とても落ち着く。

「僕は、誕生日に君と一緒にいられて、凄く嬉しいよ?」

「本当か?」

思わず聞き返してしまう。
それでもアレルヤははっきりと頷いた。

誕生日なんて意味のないものだったというのに。

僕はアレルヤに抱き着く。


「アレルヤ、誕生日おめでとう。」


僕が君に会えたのは。
君が生まれてきてくれたからなんだ。



END.
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