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□12月25日
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「黒た〜ん?オレだよ、オレ!開けて〜っ」


ガンガンと扉を叩く音が聞こえる。
時刻は10時。
こんな時間に他人の部屋を訪ねるのは、非常識なのではないだろうか。
そして外は零度。
全く、バカにはため息しか出ない。

扉を開けてやると、鼻の頭やら耳やらを真っ赤にさせて震えていた。

「…さっさと入れ。」

仕方なく招き入れてやると、小さく「お邪魔します」と呟いてするりと横を通り抜けた。



こうしたファイの突然の訪問は珍しくない。
用事があったりなかったり、一人の夜は寂しい言って勝手に布団に潜り込んできたこともあった。
まったく自由奔放と言うかなんと言うか。


しかし、今回は様子がおかしかった。

いつも通りの場所座ってそのまま何も言わず、じっとしているのだ。
茶入れて渡すと、無言でちゃぶ台に四角い箱をのせた。
相変わらず何も言わないので仕方なく箱を開けると、可愛らしいケーキが出てきた。



…………。
 
「Merry Christmas」と書かれたチョコレートの板やサンタクロースの形をした砂糖菓子がデコレーションされている。
恐らく誕生日を祝いたかったと言う訳ではないようだ。それに今日は俺も多分コイツも誕生日ではない。



………………。


一緒に祝いたかったという意味なのだろうか。


「…俺はキリシタンじゃねえぞ。」

「…うん。」


また黙ってしまったので、包丁を持って来てケーキを切り分けた。
そしてそれをファイによこす。


「……っ。」

何か言いたいような顔をしていたが、気が付かないフリをしてケーキを八つ当たりのように頬張った。


いったい何なんだ今日のコイツは。

いつもに増して訳がわからん。
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