T

□マモちゃん
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Tくんはいつでもどこでもマモちゃんと一緒。二人は大の仲良しなのです。幼稚園にも一緒に行くし、お風呂だって、寝るときだって離れません。
Tくんはマモちゃんにケッコンしようねと言いました。3歳のTくんにとってケッコンというのはチューすることです。接吻ですね。
しかしマモちゃんは答えてくれません。ちょっと笑ってるような顔でTくんの鼻を見ています。ヘンジは?とTくんは強く言いました。やっぱりマモちゃんは少し笑ってるだけでした。でもTくんはわかっています。マモちゃんが喋れないということを。いつもママに「ぬいぐるみとおしゃべりするのはやめなさい」と言われます。マモちゃんはネコのかたちのぬいぐるみなのです。Tくんはあんまりマモちゃんに話しかけないことにしました。
そして今マモちゃんは暗いところにいます。なんにも見えません。Tくん、Tくん、Tくん。マモちゃんはたくさん呼びましたがダメでした。誰も来ません。マモちゃんは後悔していました。あのときヘンジをしていれば。できないことくらいわかっています。でもやっぱりこんな暗いところにいたくないよう。そうだ、今度Tくんが来たらちゃんと大好きってわかるようにしよう。そしたらTくん思い出す。

大きなTくんは昔しまったギターを探しに押し入れを開けました。その拍子に黄ばんだぬいぐるみが転がりました。ぬいぐるみはTくんの足元に落ちて、足首にまとわりつきました。Tくんはそれを足でどかしました。ぬいぐるみの目には水滴。








6さんから
彼女の文は凄く好きです

有り難うございました


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