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□冬夜
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ふと並木道を見てみれば,酷くこざっぱりした木々が寒そうに立っていて


あぁ今年も,もう終わりか



そんなことを思いながら男は白い息を吐いた


今夜は雪が降りそうだ
明日からはもっと寒さが厳しくなるとか言ってたな


真っ暗の中に中途半端な電灯が一つ,チカチカ光っている



少しくらい闇に紛れさせてくれよ
折角の冬の夜なのに


男はマフラーに顔を埋めて,コートのポケットに手を突っ込んだ

ポケットの中のモノがひやりとあたったが気にしない









ピーポーと遠くでサイレンの音が聞こえる


男はニヤリと微笑むと足音を立てないように歩き出した

















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