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□第一章
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【第一章】
ヒトは死(其れ)に怯えながら,「自分とは関係ない」と高をくくる
いつも身近に,側に侍らせているというのに。
「時刻は」
男にしては長髪の髪をサラサラと風に靡かせながら鑑識に聞く
見た所未だ20代だろうか
「推定4:00〜6:00にかけてです」
「ふん。目覚めの悪い朝だったようだな。それとも【悪夢】で済んだのか……」
「先輩!!」
その美男−坂元一樹−が物思いに耽っていると何処からか明るい声が聞こえた
「遅い。5分遅刻だ。
お前も刑事なら少しは時間を守れ」
「すみません…電車が停まってしまって…」
「嘘つくな」
「ゲッ」
「お前は嘘が判りやすい奴だからな。俺は一度もバレた事ないぞ」
「……そりゃ先輩ポーカーフェイスですもん」
一樹に気軽に,且つ,明るく声をかけられるのはこの男−市倉雅人−しかいない
一樹とは違う美男で,どちらかといえば可愛い部類に入るのではないだろうか