頂き物

□見送る男
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―――――汽車の汽笛が聞こえた。



外は、朝から粉雪がちらついている。
肌を刺すように、空気が冷たい。

ホームでは、老若男女様々な人間が溢れかえっている。
抱き合って、別れを惜しむ親子連れ。
黙って1人で列車に乗り込む若い女。
嬉しそうに、親の手を握って駆け込む子供。
それぞれ、千差万別な思いでここに居るんだろう。

ぼんやりと大勢の人の波を見ながら、隣を見た。
俺の部下―――いや、元部下は、正面をじっと見ている。
前には列車の線路しかないのに、何を見てるんだか。
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