短編集

□蓮の花
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ファルマンを見る度に、蓮の華のようだと思う。
どこかの詩人が詠ったものだが、どんな意味を込めたのかはわからない
きっと俺には永遠に分からないと思う。
だが、初めて聞いたときファルマンを思った。

蓮の華は燃えさかる太陽を恐れて 項を垂れて夜を待つ

夢見心地に

月こそ蓮の恋人 その光に蓮は目覚め

いそいそとヴェールを脱ぎ つつましい顔をあらわす

周りを気にし、俺を気にして
俺との愛を確かめあえる夜をそっと待つ
二人だけの時間にやっと幸せそうな顔をするファルマン。


花開き 燃え立ち 光を放ち

蓮は言葉も無く空を見上げる

蓮は匂い 蓮は泣き 蓮はおののく

愛と愛の切なさゆえに


ヴァトー、俺はお前といられることを幸せに思っている
この想いが変ることはないから
誰に何を言われようとも、お前と離れることはないから
夜といわず、朝といわず
いつでも華を咲かせて欲しい。


俺だけのために、咲いていて欲しい


Fin
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