短編集

□毛布の中でH.ver
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いつものようにファルマンを飲みに誘った。
やっぱりいつもの通り4人で飲むことになった。
本当なら2人きりで飲みたいんだけど、なかなか何故か伝わらない。
ハッキリと2人で飲もうと誘えばいいのか?だが断られたらショックで再起不能だしな
アイツと同じ空間にいられるんだから良しとする。・・・弱気なオレ

飲み明かしても酔いつぶれてもいいぞ!とオレの部屋で飲むことにした。
一緒に飲み明かしたことも、アイツが酔い潰れたことも今までに一度も無いんだけど。
オレは明日休み、そしてファルマンもだ。
上手くいけば泊まって、朝ご飯食べて、休日デート・・・は限りなく不可能に近いが
今回の狙いは『部屋に呼ぶこと』だ
お家デートってヤツを自然にできるようにするための布石
次に誘いやすいようにするためだ。
いつも使わない頭を頑張って使ってンなオレ

一通り飲み終わったところでブレダとフュリーが帰ると言い出した。
一緒に帰り支度をするファルマンにダメ元で休みなんだから、と引き留めたら笑顔で残ってくれた。
オレは上機嫌で買い置きの酒を用意し『とっておき』をファルマンに差し出した

かなり酔いも廻ったオレは大胆にもアイツの銀の髪を梳き、柔らかい感触を楽しんだ。
嫌がらずしたいようにさせていたアイツもかなり酔っていたんだろう。
サラサラと落ちていく髪にキレイだなと呟くと、オレの方がずっと綺麗だとファルマンが微笑んだ。
髪も綺麗だが瞳も綺麗だと言われた。
空を切り取ったような蒼が好きだ、と微笑まれたら
照れくさくって何も言えないって・・・嬉しすぎるだろ

ハッキリ言って飲み過ぎた。
気が付けばオレに体を少し預けるようにアイツが眠っている。
軽く揺すって呼んでみても起きる気配はない。
ファルマンを抱え上げベッドまで運ぶと、何となく悪戯心が沸き上がった。
一緒に眠ってみようか
目が覚めた時にあわてふためく様子が簡単に想像できる。
大の男が2人で眠るには狭すぎるが、床で眠るよりはマシだと思ってもらう。

ファルマンの隣に身体を滑り込ませ上半身だけ起こし、間近で見ることのないファルマンを観察する。
意外に睫毛が長い、起きてても眠ってても変わらない目。
2・3回しか見たこと無いけど瞳は深い、深い翠色。
シーツに広がる銀糸に手を伸ばしそっと梳く。
部屋にファルマンの静かな寝息だけが聞こえる。



望んだのは自分のはずなのに落ち着かない。
こんなに近くにいるのにファルマンは笑わず、話さず、動かない。
一人でいた時より今の方がずっと苦しくて切ない。
起きて、オレを見て
ファルマンの頭にキスをする。
起きてしまったら触れることも側にいることもできなくなってしまうけど
近くにいられないのも嫌だけど
起きて、起きてオレを見て
ファルマンの頭に何度も、何度もキスをする

身じろぎ瞬きをしてファルマンがオレを見る
寝惚けているがオレを呼ぶ
ほっとしたのと残念なのと、嬉しいのと不安な気持ちが駆けめぐる
まだ眠っていて大丈夫だと言えばファルマンはふわりと笑って眠りに入る
何が大丈夫なのか、大丈夫じゃなかったくせに。起こしたのは自分のくせに
横になり布団を引き上げファルマンと自分にかけ直す。
目を閉じたファルマンにまた胸が苦しくなる。
なぁ、こんなに近くにオレはいるんだ
ファルマンの躰を抱きしめる。
暖かいと呟きが聞こえファルマンをみると寝惚けて幸せそうに笑っている。
ファルマンがそっとオレを抱きしめる。
優しい温かさがオレを包み気持ちいい。
ファルマンの躰を優しく抱き直し、目を閉じた。


Fin
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