短編集

□言の葉番外編
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ファルマンが東の国の“挨拶”の返事を繰り返した所でブレダ少尉とフュリー曹長が戻ってきた。
当然だが”挨拶”とは何かを聞いてくる
ウソと真実を教えるわけにはいかないので、説明をハボック少尉にお任せしよう。
「コーヒーを入れてきますね」
そういってファルマンは席をはずす。
本当はハボック少尉が自分以外の者に言うのを聞きたくないだけだ


給湯室に向かう途中でヒューズ中佐に気づき挨拶をする
「お久しぶりです、中佐。いらしてたんですね」
「ファルマン!“ア イ シ テ ル コ コ ロ カ ラ”!」
ヒューズにもにこやかに“挨拶”される
・・・中佐もですか
がっくりとファルマンは肩を落とした
「その言葉はグレイシアさんにお伝えすると喜ばれますよ・・」
「なんだ〜?知ってるのか、つまんないの」
「・・・中佐も大佐と一緒にハボック少尉をからかったんですか?」
「からかう?今日はまだわんこに会ってないぞ」
「じゃあ何故その“挨拶”を知ってるんです?」
「“挨拶”?ああ、“ア イ シ テ ル”ってヤツか?
ロイのデスクにあった『愛のささやき全集』を読んだんだ」
愛のささやき全集・・・何だか色々な意味で頭が痛くなってきた
ファルマンがこめかみを押さえてため息をつくとヒューズは笑った。
「ロイのヤツ、またわんこ騙して遊んだのか」
「ええ、東の国の“挨拶”だと」
「お前さんはどうしてウソだと分かったんだ?」
「以前その国の本を読みたくて勉強しましたので」
「なるほどね。その様子じゃ本当のこと言ってないな」
「素直に喜んでいる少尉を目の前にして言えるわけ無いでしょう」
「ファルマーン!」
「「わあっ」」
ハボックが急に現れたので2人で驚くが、ハボックも驚いたらしい
「2人ともなんつー声だしてんスか」
「いやぁ、ちょっとな」
「な、何でしょうか?ハボック少尉」
「中尉がお茶菓子もらってきたからさ、皆コーヒー待ってるんだけど」
「すみません、すぐお持ちします」
「オレも手伝うよ」
「俺の分もいいか?ロイの会議が終わるまで時間あるんでな」
「了解ッス」
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