長編集

□つかの間のヒロイン(1)
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バレンタインデーそれは恋愛色のとても強いイベント
本来の意味はどこへやら・・・・
お菓子、装飾品、花束etc・・・が行き交い男女取り乱れての大騒ぎ
貰いすぎる者は取り扱いに困り、貰えない者は悲嘆にくれ袖を濡らす
それは軍部内でも同じコト______ 

東部が他と少し違うとすれば司令部NO.2の権力者がやたらと女性にもてることだろう。
大きな段ボール箱に山と積まれているチョコレート
いくら甘い物好きで、女性にも甘いロイ・マスタングといえども全てを消費するのは不可能である。
なので部下達にもチョコの消費を手伝って貰おうとした。
もちろん彼の部下達は断った。
ある者はやっかみから、ある者は心を込めて送った女性を思って。
しかし、それで引き下がるロイではなかった。
『私の部屋に入ってきたら机の上のチョコを食べること』
と上官命令を出し何が何でも消費させようとした。
マスタングのサインを貰うために何度も部屋に入らせるようにしたのだ。
そして人々がバレンタインを忘れた頃に悲劇は起きた。


書類の束を持ち大佐の執務机の上のチョコを見て大きな溜め息をファルマンはついた。
チョコの食べ過ぎで胸やけを起こしているが、それよりも送った女性達のことを思うと気が咎める。
チョコをもらった本人は会議中でここにはいない。
だから食べなくても大丈夫だし、ハボックやブレダなら絶対に食べないだろう。

『上官命令』・・・・そういったマスタングの顔を思い出す。
命令なのだ、自分が気に病む必要はない・・・・・
書類をデスクの上に置きチョコを手に取り一粒食べる。
更にもう一粒飲み込んだ所で身体の異変を感じ、吐きだそうとしたが力が入らず出来ない。
身体が発光すると同時に激痛が走りファルマンは意識を飛ばし床に崩れ落ちた。
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