長編集

□つかの間のヒロイン(4)
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「お早うさん」
「おはようございます、ブレダ少尉」
「おはよ」
大部屋に入ってきたブレダはのんびりとコーヒーを飲んでいるハボックに驚いている。
「随分早いなハボ、どうしたよ?」
「だってコイツが早いんだもん」
ハボックは隣で同じくコーヒーを飲んでいるファルマンを指さす。
「少尉がいつもギリギリなんですよ」
朝食が冷めちゃう所でしたよとファルマンが苦笑している。
「朝は苦手なんだ」
「コーヒーが飲みたいと言っていたでしょう?」
「どうせゆっくりなら家で飲みたいじゃん」
「豆を買い忘れたのは少尉でしょうに」
仕方がない人だとファルマンがクスクス笑い、そうだけどよーとハボックがふて腐れてる。
自分達の世界を作り上げている2人にブレダは2度目の驚きで眺めている。
「・・・・誰もボクに気づいてくれないんですか?」
「うおぁっ!何だよフュリー驚かすなよ」
「ひどいですよ!ボクちゃんと挨拶したのに」
ブレダ少尉の直ぐ後に入ってきたのに・・・・フュリーがめそめそと泣きながらブレダの側に立っている。
「悪い、あの2人に気を取られてたもんで」
「急に仲良しになりましたねぇ」
「話の内容からしてファルマンのヤツ昨日も泊まったみたいだな」
「そうですね、ボクもビックリです」
笑い合っている2人は完全に世界に入り込んでいて戻ってくる気配がない
「何なんだよ・・・・このデキちゃってます的なオーラ」
「これじゃ付き合ってますって噂が流れてもおかしくないですよ」
「イヤ、もう流れてる」
「今度はどんなのですか?」
あーぁやっぱりとフュリーは溜め息をついた。
「ハボとファルマンは付き合っているだけじゃなくて同棲しているってよ。
2人仲良く夕食の献立を話ながら買い物してたんだと。
後はぶかぶかの男物を着たファルマンとハボックが街を歩き、広場で笑いながらダンスを踊っていたなんてのもある」
「やっぱ見られてたか」
「広場も店も結構長くいましたからね」
いつの間に戻って来てたのか平然と答えた2人にブレダは本日4度目フュリーも飛び上がって驚いた。
「おいおいおい!」
「じゃ、じゃあ全部本当のことなんですかっ?!」
「付き合ってるのと同棲は違うけどな」
ハボックの言葉にファルマンも頷く。
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