長編集
□つかの間のヒロイン(5)
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休憩室から戻る途中で女性の甲高い声に気がついたブレダは振り向き、隣を歩いていたハボックも足を止めた。
あの銀髪を間違えることはないファルマンだな、それと事務の女の子か?
ファルマンは困ったようにファイルを両手で抱えているが・・・・
2人は首を傾げるとそっと隠れ窺ってみる。
「やっぱり噂は本当なんですね?だからダメなんでしょう?」
「違います。ハボック少尉とは本当に何でもないんです」
「それならお願いします!声を掛けるだけでもいいですから!」
事務の女性は拝むように上目遣いをし、ファルマンが辛そうに俯く。
「・・・・分かりました」
やった!と女性ははしゃいで封筒をファルマンに差し出した。
「これ招待状です!よろしくお願いします」
ファルマンが受け取ると女性は軽やかに去っていった。
手にした封筒を見つめファルマンが俯く。
ハボックは女性とすれ違うように前に現れブレダも続いた。
「どうした?」
「ハボック少尉・・・」
ぐっと顔を上げたファルマンは微笑んでいる。
「丁度良かった。事務の女性からこれを預かったんです」
ピンクの封筒をハボックに差しだしハボックは笑って受け取った。
「飲み会の招待状、少尉達にです。フュリー曹長も呼ばれてますから伝えておいてください」
それじゃ、と足早にファルマンは去っていく。
サラリとかわされ、開きかけた口を閉じるとハボックは貰った封筒に視線を落とした。
微笑んではいたが素っ気ないファルマンに違和感を感じブレダは首を傾げた。
封筒を開けハボックはにんまりと笑った。
「やったね!この合コン色んな部署の女の子が来るぞ。野郎はオレ達だけじゃなさそうだけど」
「お声が掛かるだけで俺は十分嬉しい」
「大佐には内緒にしないとな」
「おう、もちろんだ親友」
楽しみ〜vとハボックは笑うとブレダに封筒を渡した。