記念SS

□Fall in love
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「悪かったな、無理やり付き合わせてよ」
行きつけの店に入るとハボックは強引だったなと謝りファルマンは笑って首を振っている。
「構いません。でもどうしたんですか?」
「ちょっと子供っぽいケド、今日は誕生日でさ」
驚いたファルマンのグラスを持ち上げた手が止まったのでハボックは軽く笑った。
「予定では2人で過ごすハズだったんだけど、その前にっていうのがステラの優しさだよな。
別れるのに誕生日祝うのもウソっぽいもんなー」
「ハボック少尉は本当に優しいですね」
「そうかぁ?じゃあ何でフラれるかな・・・」
困ったようにファルマンは微笑んだ。
「優しすぎるんですよ。いい人でありすぎるんです」
「最近イイヒトって言葉は褒め言葉じゃないと思うようになった」
がっくりと肩をハボックは落とした。
「その優しさがハボック少尉なのですから。自分を曲げてまでする恋は辛く悲惨なだけですよ。
少尉の優しすぎる優しさを包み込む人にいつか必ず出会えますよ」
「それっていつ?」
「恋はあせっちゃダメですよ。待たなくては。そして信じないといけません」
ファルマンは穏やかに微笑んだ。

「ではあらためて、お誕生日おめでとうございます。ハボック少尉」
グラスを合わせてハボックは照れくさそうにサンキューと笑った。
「こうして共に飲めて、仕事をすることが出来て良かった。貴方に出会えてとても良かったと思います。
生まれて来てくれてありがとうございます。感謝を込めて、誕生日おめでとう」
穏やかに温かくファルマンは笑った。
「すっげー嬉しい。何か恥ずかしいケドでも、うん、すごい嬉しい」
顔を赤くしながらハボックは嬉しそうに幸せそうに笑った。
「ありがとな。お前と今日すごせて良かったよ。お前ってやっぱり良いヤツだなー」
「こちらこそ、ありがとうございます」
もう一度グラスを合わせるとまた恋愛の話に戻っていった。

「何でお前に彼女が居ないのかなー?」
「痛いところを突きますね。まぁ、女性から見たら取っ付きにくいのでしょうね。
真面目で堅そうって言われますし、自分でもそう思いますからね。話し上手でもありませんし。
私も信じて待っているんですよ、一生の内にどこかで出会えればそれで幸せだろうと思います」
「オレは早く会いたいよ」
頬杖をし溜め息をつくハボックに恋はあせらずですよ、とファルマンは苦笑した。

誕生日から随分と経った頃、ハボックに向かって最近ファルマンと仲が良いなとブレダが笑って言った。
そうかあ?と首を傾げて返事をしながら、そう言われれば良く一緒にいるかも?と反対側にまた首を傾げた。
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