長編集

□つかの間のヒロイン(1)
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マスタングの後を歩きながらハボックがぶつぶつ文句を言う。
「もういい加減あっちでやらないッスか?オレもう気持ち悪くて」
「煩いな!書類がなければ困るのはお前だろうが・・・・」
マスタングは執務室の扉を開け人が倒れているのに驚き、後ろにいたハボックも驚く。
「大丈夫か?!」
マスタングとハボックは慌てて側により抱き起こし、倒れていたのは女性だと分かる。
揺すってみても全く目を覚ます気配がない。
「顔色が悪い。貧血ッスかね?」
「とにかく医務室だな」
ハボックは女性をお姫様抱っこすると2人は医務室めざし駆け出した。

「あの女の人どこの部署ッスかね?オレ見たこと無いんですけど」
ハボックが執務室に落ちているチョコを拾いゴミ箱に捨てる。
「それがな、私も知らないのだよ」
「大佐が知らないんじゃ移動したてか。階級章も准尉つけてたし挨拶に来て倒れちゃった感じ?」
「ふむ、そうなのだろうな」
「きれいなプラチナブロンドだったよなぁ。腰までありそうなさらさらストレートv」
「確かに見事だったな」
「軍服の上からじゃわかりにくいッスケド・・・・細いのに脱いだら凄い系v」
「お前そんなだからフラれるんだ」
馬鹿なやつめ、とマスタングは鼻で笑った。
「サイン終わったッスか?早く戻らないと中尉に怒られる」
「今回のチョコは見逃してやる」
へーへーどうも、とハボックはやる気のない仕草でマスタングから書類を受け取った。

ノックの音がして失礼します、とホークアイが入ってきた。
「ちゅ、中尉、いま戻りますから」
ハボックが引きつった笑みで部屋を出ようとし、ホークアイは冷ややかな視線を送ったがそこで待つようにと命じる。
「大佐、確認したいことが2つあります」
「何だね?」
別に悪さをしたわけではないが、マスタングの背中を冷たい汗が流れる。
「先程この部屋から錬成の光を見たとの報告がありました。何かしましたか?」
「いや、何もしていない」
マスタングとハボックの素直な驚きにそれなら結構です、と言わんばかりにホークアイは頷く。
「それとファルマン准尉を見かけませんでしたか?ずっと姿が見えないので探しているのですが」
「いや、見てない____」
と言いかけてマスタングはハボックと視線がぶつかった。
居なくなったファルマン、この部屋で起きたらしい錬金術、倒れていた銀髪の女性・・・・・・
「いや、大佐それはナイナイ」
「そうとも!そんな錬金術きいたことないからな!」
わははは!と2人で笑い合いマスタングはゴミ箱の中の落ちてたチョコと空箱を見て笑いを止める。
瞬間ハボックは部屋を飛び出し、マスタングも続いた。
「中尉!君もきたまえっ」
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