長編集

□つかの間のヒロイン(3)
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シャツのボタンを外し脱ごうとして髪が邪魔なことに気がつき、ハボックに尋ねた。
「申し訳ありません少尉、普通のタオルをお借りできますか?」
「いーけどなんで?」
「髪の毛が濡れてしまうので」
「ああ、ドライヤーあるぜ?それとも濡れると困るの?」
「乾くのに時間がかかってしまうので」
「時間がかかるって、今日何か予定あるのか?」
「いえ、別に」
「ならいいだろ、洗ってこいよ」
「あまり長居すると少尉の迷惑になりますから」
「別に休みだし。気にせずのんびりしようぜ」
でも洗い終わった後に必要か、とタオルをハボックが探しファルマンは洗おうかどうしようか迷い佇む。
「なぁ、その格好でオレの前をうろつくってコトは『お誘い』と受けとっていい?今日は押さえる自信がないんですケド」
ファルマンのセクシーvできわどい格好にハボックはニヤリと嬉しそうに笑い、バスルームに逃げ込むようにファルマンはすっ飛んでいった。
髪を洗い、続けて体を洗っているとドアの外から声がかかる。
「着替え置いといたから使って」
「ありがとうございます」
「そうだ、ファルマーン」
「何ですか?」
「お前スタイルいいのなあ」
「ハボック少尉っ!」
楽しそうに笑う声が響きファルマンはお湯の所為ではなく真っ赤になる。
まったく、人をからかって遊んで困った人だ
だがハボックの笑顔を想像しファルマンは知らないうちに微笑んでいた。
手早くシャワーを浴びるとファルマンは身体を拭き、タオルを髪に巻いた。
ハボックが用意してくれた衣服に袖を通すが手が出てこない。
着られそうなモノを選んでくれたのだろうが・・・・やはり大きすぎる。
ジーンズもウエストがゆるゆるだが腰で引っかかっているので脱げることはなさそうだ。
裾を折り返し何だか笑いがこみ上げてきた。これでは恋人の家に泊まり服を借りた女性のようだ。
髪を拭きながら戻ればハボックはコーヒーを飲んでいた。
「シャワーと着替えをありがとうございました」
「どういたしまして・・・・やっぱデカいな」
「大は小を兼ねる、ですよ。気にしません」
「なんかさ、彼氏の服着た女の子みたいじゃない?」
「実は私も着てみてそう思いました」
二人してまたクスクスと笑い合った。
「朝飯どうする?この時間だともうブランチだけど」
「何か作りましょうか?ご迷惑をかけたお詫びに」
「そんじゃお願いするかな。あるモノ何でも使っていいから」
オレもシャワー浴びて来るとハボックがタオルを持ってバスルームに向かった。
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