その他の空

□悪魔の回想。そして断念。
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「なあ。俺はダメな彼氏だとは思わないか?」
「「は??」」



突如はかれたセリフに栗田とムサシは顔を青くしたり、号泣したりで驚きを表していた。

その態度は誰もが同情してしまうだろう。

あのヒル魔が!

悪魔と謳われるあの最強のQBの蛭魔妖一が!!

“自分はダメな男”だと!?



冗談じゃない!!!

誰だ!?

こいつは誰だ!?

と言わんばかりに叫び、そして嘆いていた二人をヒル魔は止めることなくため息を吐いていた。

憂鬱そうに、しかも体育座りをして。

ちなみにここは屋上だが、先ほどまで晴れ渡っていた空が今は嘘のように雲に覆われてしまった。



「と、とりあえずヒ、ヒル魔?
何があったの?」
「そ、そうだヒル魔!
相談があるなら話を聞くぞ!!」



顔色は青いまま、何とかヒル魔の憂鬱状態を打破させるために幼馴染達は懸命に問いただした。

こんな状態のヒル魔を見た生徒が今いるなら、間違いなく屋上のフェンスから飛び降りるだろう。



「実は…この前俺の家に糞チビが来てたんだ。
その時テレビで今人気のビーチ!!〜恋人達が選ぶBEST10〜っつー特集番組を見ていたんだがな」
「そ、それで何かあったの?」
「チビがサメに食われた観光客を可哀想がって泣いているのを自分は慰めてやれなかったとか!?」



明らかにムサシはテンパリすぎて番組の種類を間違えていた。

いつもは冷静沈着な彼でも、かなり今のヒル魔の状態が衝撃過ぎたようだった。

ヒル魔は体育座りのまま、違うと左右に頭を振って否定した。

まるで泣きべそをかいた小学生のように。
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