NOVEL1
□morning glow
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「俺がさ、もし、もしの話だかんな。俺が久保ちゃんのこと嫌いだって言って、いなくなったらどうする?」
「ん?そぉねー」
『始めからいなかった。存在しなかった。って思うかもね』
背筋に悪寒が走る。
心臓がこんなに大きく音を立てたのを、初めて聞いた。
過去のない俺は、久保ちゃんで構成されている。
時任という名前も久保ちゃんがくれたもの。
久保ちゃんに与えられたもの。
久保ちゃんが教えてくれたもの。
久保ちゃんといる。
それが俺の世界。
その久保ちゃんに、始めからいなかったなんて思われることは、今の俺の全てを否定される。
否定じゃなくて、存在そのものを消される。
胸に絶望と言う暗闇が広がった。
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