NOVEL1

□fragrance
1ページ/4ページ


ダメだ…。

吐気がする…。



「時任、降りるよ」

「でも、久保ちゃん。まだ…」

「いいから。降りて」



目的駅の二つ前で、久保ちゃんに腕を引かれて電車を降りた。



「それにしても、あの人、香水つけすぎ」

「俺、危なくリバするかと思った」

「だと思った。なんで言わないの?」

「だって、香水ぐらいで情けねぇじゃん」



眉間に皺。
あっ、ちょっと怒った?

だって、俺にもプライドとかあるわけよ。
たかが、香水ごときで体調崩す柔な男だって見られたくねぇし。



「はぁ…」



呆れたように溜め息漏らすなよ。
そりゃ、あそこでリバすること考えれば、ちゃんと言ったほうがいいんだろうけどさ。



_
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ