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□monologue -kou-
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なんと言えばいいでしょうか。

表現するなら、飼い主のいない犬。
と言うよりは、飼いならされることのない動物と言ったところでしょうか。

自尊心が高いとか、そう言ったことじゃないんですよ、彼の場合。

惰性的に身を任せ、それでも他人に阿るというわけでもなく。
いつ尽きるとも分らない生を、ただ過ごすといった感じでしょうね。

だから、彼には要るものはなかった。
また、彼を縛ることのできるものはなかった。

渇望しているのは目に見えて分かっていましたが、何を欲しているのかは私にはわかりませんでした。
たぶん、彼自身ですら分かっていなかったんじゃないでしょうか。

自分の中にそう言った、何かを欲しがる部分があるということにすら、気付いてはいなかったと思います。
気付いてはいけないと、無意識の内に消していたのかもしれませんね。

思えば、思うほどそれは幻になってしまうのですから。



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