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□Red moon
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灯りのない部屋に光が差し込んでる。
それはいつもの頼りない光と少し違う。
時任の頭越しに、空いたブラインドの隙間に目を凝らしてみる。
眼鏡を外してるから、外の景色なんて見えるわけないのに。

「久保ちゃん…」

寝ていたと思った時任は、腕の中で少し体を動かした。

「起きてる…わけねーか」

お前がどんな反応するか、気になって、寝たフリしてみたり。

「久保ちゃん」

小さい声で俺の名前を呼びながら、髪に触れてくる。
起こさないようにって気を使ってるのかな?
怖々と長くもない俺の髪に指を通していく感触が伝わる。

「久保ちゃん…」

頭にあった手は、今度は俺の顔に触れた。
微妙に当るかどうかの、皮膚の感触がちょっとこそばゆいな。

「久保、ちゃん…」

指先が唇をなぞっている。
少し震えてる指先は、ちょっと熱いかも。

起きてることを気付かれないようにするのって、大変ね。
今すぐにもその指を口に含みたいけど、ちょっと我慢。
次に何をするか、楽しみだから。

「…久保…ちゃ……」

唇の近く息がかかった。
恐る恐る触れてきたそれは、とても熱を持ってる。



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