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□flower of the summer
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花があった。
黄色とオレンジの間にあるような色した花。
時任が通り掛かった花屋でもらった花。
太陽が似合うからと窓際に置いてあった。
今はもうないけど。
代わりに時任の手の平に小さな粒がたくさんある。
それを落とさないように、ベランダに向かって歩く後ろ姿を見ていた。
ベランダの隅に置かれた真新しいプランターに粒を埋めていく。
その横顔は楽しそうで、でも真剣で。
そんな風に埋めてもらえる小さな粒に少しの羨ましさを感じた。
「見てねーでさ、久保ちゃんもっ!」
土が付いた手を上げて、こっちに来いって呼んでる。
ベランダに出て、時任の横に座り込んだ。
「久保ちゃんも世話するんだからな」
時任は笑いながら、縞の入った粒を差し出してきた。
それを摘んで、埋めた。
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