NOVEL1
□birdcage
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机の上に投げ出した腕に窓枠の影が掛かる。
縫い付けられたように、動けない。
鳥籠の中にいるようだ。
外に出ることができない。
違う、出たくないんだ。
ここにいたい。
「久保ちゃん…」
そう呼びかけると、ん?と煙草を口を銜えたまま振り返る。
何も言わずに見つめる。
『とーきとっ』
呼ばれても、目を離さない。
離したくない。
首だけを上に向け、見続ける。
近づく煙草の香り。
唇に広がるのは、苦いセッタの味。
俺の羽を毟り取って。
お前の元から飛び立てないように。
俺がお前の羽も毟り取ってしまうから。
光でできた籠の中、二人でもがき続けるんだ。
それはきっと、二人なら幸せなこと。
Fly, and do lose it?
It does not need a wing.