NOVEL1

□daydream
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『久保ちゃん』


そう呼ばれる度に、嬉しさが込み上がっていた。
そんな呼ばれ方なんて、されたこともないのに、自分の中でことりと嵌まっていた。


俺のことを『久保ちゃん』と呼ぶ君。




楽しそうに、何でも珍しそうに物を見ていた。
まるで初めて目にする物ばかりのようで、その姿は自分までも楽しくなる。


少し吊り上がった瞳で俺を見上げる君。




黒い手袋を嵌めた右手を握り、少し強がって笑っていた。
すごく痛いはずなのに、そう笑う。


自分とは違う笑い方をする君。




強い眼差しに惹かれ、抱き締めた自分より小さな体。
腕の中に感じた温もりが朧げながらにも、今もある。


温かさをもった君。



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