NOVEL1
□fragrance
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ダメだ…。
吐気がする…。
「時任、降りるよ」
「でも、久保ちゃん。まだ…」
「いいから。降りて」
目的駅の二つ前で、久保ちゃんに腕を引かれて電車を降りた。
「それにしても、あの人、香水つけすぎ」
「俺、危なくリバするかと思った」
「だと思った。なんで言わないの?」
「だって、香水ぐらいで情けねぇじゃん」
眉間に皺。
あっ、ちょっと怒った?
だって、俺にもプライドとかあるわけよ。
たかが、香水ごときで体調崩す柔な男だって見られたくねぇし。
「はぁ…」
呆れたように溜め息漏らすなよ。
そりゃ、あそこでリバすること考えれば、ちゃんと言ったほうがいいんだろうけどさ。
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