SUGAR LIFE
□secret
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「なぁ、久保ちゃん。なんで、こいつら泣いたりしてんのに、嬉しそうな顔してんの?周りのやつらも」
「新しい人生の門出だからじゃない?それって、おめでたいことだし」
「ふぅん」
「何、時任。興味あるの?」
「なんか幸せそーだなって思った」
「そぉ…」
寒い、寒い、一月の夜にテレビを見ながら、何気無く交した会話が全ての始まりでした。
明くる日、旦那さまは外回りを少し早く切り上げ、とある場所に向かいました。
「時任がさ、興味もってるみたいなんだけど。やっぱ、やったほうがいいのかな?」
「ああいうのは、形式みたいなものですから。やりたい人には意味があって、逆にやりたくない人にとっては非生産的なことでしょうね。久保田君はどうなんです?」
「俺はどっでもいいかな。欲を言えば、時任のそういう姿もいいよねってこと」
「でも彼のことですから、嫌がるでしょうね」
旦那さまの目下の悩みを朗らかな笑みで聞いているのは、奥さまとクロの専属医、鵠さんです。
するとそこに一人の男性が訪ねてきました。
「ちわーすっ。鵠さん、この間の…あれ?くぼっち、どーしたの?珍しく、難しい顔しちゃって」
「滝さん…珍しいとかひどいなぁ。俺にだって悩みの一つや二つあるのに」
「くぼっちのことだから、どうせトッキー絡みなんでしょ」
「するどいですね、滝沢さん。実はですね…」
訪ねてきたのはフリーライターの滝沢でした。