NOVEL1

□sleeping drug
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「ん。おやすみ…」



ソファーに横たわり、時任から渡された毛布を掛ける。
寝たと思われる久保田の顔は、まるで棺桶に横たわっているような生気を感じさせない寝顔。
時任は徐に、久保田の胸に耳を当て、目を瞑った。
トクン、トクンと規則正しく打ち鳴らされる心音。
その音を聞きながら、時任はソファーに寄りかかり、頭だけを久保田の胸に預けて寝入った。






君の音はちゃんとある。

君の音はちゃんと聞こえる。

君の音は安らぐ。

そんな顔しながら、寝ていても君の音を聞くだけで胸に温かみが広がる。

だから、

いつまでも僕の横で、

僕のそばで、

君の音を聞かせて。

君が生きているという音を。

僕と生きているという証を。







こんなにも君に依存している僕を許して。

ごめんね?

ごめんな。

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