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□flower of the summer
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指先に付いた少し湿っぽい土の感触。
じりじりと肌を焼く夏の残り陽。
隣にはお日さまの匂いがするお前がいて、ただ夏が終わるんだなと思った。
「どんなのが咲くか楽しみだな」
そう笑うお前はこの花と同じなんだろね。
お日さまが似合って、お日さまの匂いがして。いつもお日さまを浴びて。
「次の夏の楽しみが増えたなっ」
そうやってまた笑顔を咲かして。
その中にはっきりとしたものじゃないけど、約束をくれたりしてさ。
ね、お前はその花のようだけど、俺も似たようなものなのかな。
お前を追い掛ける。
その名前のように。
日に向かう葵。