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□close eyes -takizawa-
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味が違う…。
それは俺と『あいつ』の煙草が違うから。
君は『あいつ』の味を思い出してたの?
その時だけは俺で思考を埋め尽くしてほしかった。
「目ぇ閉じて」
前よりは長く触れた後に君は不思議そうに口を押さえてた。
『ん、やっぱ違うな。つーかさ、なんでキスするときは目ぇ閉じんだ?』
「…そりゃ、恥ずかしいからじゃない?」
『あぁーそっか』
君は納得したみたいで、我が物顔で占拠していたベッドから降りた。
『そろそろ帰る。じゃぁな、タキさん』
君に付き合って明け方まで起きてた俺に「おやすみ」はなくて、「じゃぁな」と別れの言葉。
先が分からない安定無しの君だからかもしれないけど。
それでも言って欲しかったな。
これから眠りにつく俺のために。
本当はね、キスをする時に目を閉じるのは…
君に何かあった過去を見たくないから。
君が『あいつ』といる今を見たくないから。
君がいない未来を見たくないから。
俺は目を閉じた。
『あいつ』の匂いのする君を考えながら眠りにつく、君の帰った朝。
I love you while knowing that it does not come true.