06/21の日記
01:33
妖しい誘い 京極堂/関口
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ゆら、ゆらり。
風に吹かれるように、それは水面の向こう側でゆっくりと動いている。
白く、血色のないそれは一つ、また一つと数を増やしていく。
奇妙に動くそれは気味の悪いもの、こちらとは異なるものに違いない。
しかし、茫洋とした瞳はそれから逃れることを放棄している。
ゆらりと動いていたそれは動きを変えた。伸ばされていた関節が曲がり、次には翻る。
―――あぁ、呼ばれている。
朱色と藍色を映す川の水面の向こう側に動く幾つもの腕。
誰の物とも分らぬ腕は手招きをし、川縁に佇む男―関口を呼んでいた。
さぁ、さぁ。
―――僕が行ってもいいのかい?
おいでなさいな…
―――あぁ、行かなくては…
佇んでいた身体がゆっくりと重心を変える。上半身に比重が変わり、前傾していく。
―――そこで眠れたら…煩わしいことなどないのだろう…?なら、ね…もう、いいだろう?
揺れる水面に青白い腕と徐々に近づく自分の姿を見た。
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なんとなくで、京極堂シリーズの関クン。
関クンは、危うい。
周りに誰もいなければ、すぐにあちらにいってしまうのです。
そんなだから、みんな関クンを放っておけないんでしょうね。
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