知ってる?
昔は神様がいたんだよ。

じゃあ、今は?

―今?どうだろうね。


「おい、起きろ」

「痛いってば。」

白い天井、白い敷居。
すべてが白で埋められた部屋に不自然な黒。
それがこの人

名前は獄寺隼人

私のことをいきなり許嫁だとか言い出した変人。

確かに私ももう23歳になるけど、こんな黒いスーツの男初めてだった

現に今だって骨折して入院してる私の頭を叩きやがった


「あんたまた来たの?ヒマ人ね。」

「あのなぁ、許嫁に会いに来るのは夫の役目だろうが」

また言い出したよこの人
やっぱりこの人おかしいんだろうな。この病院精神病棟あるから教えてあげたほうが良いかな


「許嫁って言うけど、なんで会ったこともない私があんたの許嫁なんかになるのよ」


意味分かんないなぁ。全く

まぁいつまでもごろごろしてたら体が鈍るのは確かだし、いい加減起きるか。

「で、君。私明日に退院するからちょっと出かけたいんだよね。」

「君じゃねぇ、獄寺隼人だ。」


ご存じだよそれくらい
きっと車くらい持ってるだろうから、自宅まで乗せてもらおう。
ストーカーだったらいささか怖いが、きっと大丈夫だ。
むしろストーカーなら私の家なんて知ってるだろうし

「何処行く気だ?」

「自宅。案内するから連れってくれる?」

看護師も連れが居ないと外出許可くれないし
まぁ、毎日ここにくるこのヒマ人なら、看護師も知り合いだと勘違いして外出させてくれると思うんだよね


「あぁ、乗せてってやるよ。」

さ、あの人が車取りに行く間に私は外出許可とりに行こうかな


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