頂き物

□ある男の思い(仮)
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近年の温暖化に伴い桜の開花も早まりはやくも七分咲きという頃、並盛保育園では卒園式が行われていた。
いつもは元気いっぱいの子供達も、なにかいつもと違う雰囲気を感じとっているのかそわそわと落ち着きが無い。
普段は園につくなり脱ぎ捨てる制服を身に纏い慎重な面もちでお遊戯室に並べられた椅子に腰掛けている。
皆と同じように緊張しているのか膝に乗せた手をギュッと握りしめ座る綱吉を見つけ、スクアーロは己の頬が緩むのを感じた。しかし隣に佇む男の気配を感じた瞬間思い直したかのように軽く頭(かぶり)を振り気を引き締める。
まだ十数年しか生きていない。こんなところで死ぬのはごめんだ。
そう一人ごち、スクアーロは隣の男――ザンザスを横目で盗み見た。
いつもの周りへの関心の無さはどこへやら、真剣に綱吉を見つめる姿が目に入る。まさかこの男にこんなにも気になる相手ができるとは。
この際綱吉が男だとかまだ子供(幼児)だとかは関係無い。
ここまでくれば何が何でも応援、ないし協力がしたくなる。たとえそれが任務終了と同時にジャッポーネへ旅立つ際の護衛だとしても。
気を抜けば襲ってくる睡魔と戦いながら、スクアーロは視線を戻した。
見れば、すでに綱吉のすぐ隣の席までの園児が椅子から立ち上がっているではないか。いつの間にか卒園証書の授与が始まっていた。
一人一人呼んで取りに行っては時間がかかる為か、一クラス全員の名前を呼んでから代表者が受け取るという形を取るらしい。

「さわだつなよしくん」

担任なのだろう女性の口から綱吉の名が呼ばれた。

「はい!」

元気よく返事した綱吉は珍しくヘマをする事なく立ち上がりキッと前を見据えた。
思わず安堵のため息がもれる。ザンザスからも同様のため息がもれたのが気配でわかった。

しかし……。

スクアーロはこっそり自分たちと周りを見渡し先程とは違ったため息をついた。
己はともかく、いかついヴァリアーコートは着て来なかったとはいえ、黒いスーツに身をつつんだザンザスはどう見てもカタギには見えない。ぽんやりとした奈々の隣にいると尚違和感が募る。
たまに感じる周りからの視線に苦笑いを浮かべながら無意味にネクタイを触る振りをした。こうすると一時ではあるが視線が減るのだ。
こんな視線を物ともせず、一心不乱に綱吉を見つめるザンザスにスクアーロは心中で仕方ねぇなぁ、と呟いた。
どうせザンザスの事だ、来月あるという入学式にも行くのだろう。正直面倒ではあるが、我らがボスの為だ。

それに、綱吉にも会えるしなぁ。

何だかんだでスクアーロも綱吉が好きなのだ。

授与式が終わり、鳴り響く拍手の音を聞きながら、いかにザンザスの強面を和らげるか、を考えていた。

メガネでもかけさせるかぁ……。








サイト名:しんぷる いず べすと
管理人:ケイ様

フリーだったので、頂いてしまいました!!
ツナ大好きなザンザスがいいです!!!
一心不乱に見つめるあたりとか…////

一周年おめでとうございます!!!!

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