ツナ受け

□温もり
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「あ、」






美しいと思ったそれに手をのばし、包み込めば
それはあっという間に溶けて消えた。



この手に「温度」というものがある証拠。
生きているという証拠。




























「あ、雪…」





先程まで僕の向かい側に座りおとなしくココアをすすっていた彼は
いつのまにやら降りだした雪に気が付くと、目を輝かせてベランダへと出ていった。



―まったく、この寒い中に上着も羽織らずに…



呆れながらも、僕は近くにあった彼のジャンパーを手に取り、ベランダの彼のもとへと向かった。










「これ、積もるかなぁ…」
「さぁ…どうでしょう」
「積もったら、かまくら作りたいな」
「かまくら?」
「うん」






視線は雪へ向けたまま、彼は続けた。



「小さい頃よく作ったんだ。父さんや母さんと…
なんか、懐かしいなって思って」
「……」







遠くを見つめるその瞳が、
僕を捉えないまま僕の知らない世界を見つめる。

不意に、目の前の真っ白な景色が恐ろしく感じられた。














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