フシギの世界へ

□プロローグ
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朝起きて、支度して、学校行って…
―――こんな何の変哲もないつまらない日常が、これからもずっと続くと思っていた…。

朝の八時頃、すれ違う友達に挨拶しながら登校する学生で、いつも街はごった返している。
この少女、水野凜もそんな学生の一人だ。
長くて綺麗な黒髪に、ぱっちりとした瞳を持つ少女である。

「凜、おはよー」と挨拶をされたら、笑顔で「おはよー」と返す。
そして教室に到着したら、鞄を机の横に下げ、席に座る。
そして授業を受け、学校が終われば家に帰ってくる。

今日も特に何の変わりもない、いつもの退屈な日常だった。
これが彼女の今日の一日の感想だった。

凜の家は大きな一軒家だ。しかし家には誰もいないので、いつも鍵を持ち歩き、自分で鍵を開けて家に入る。

両親は凜が中学二年生のときに仕事で海外へ行ってしまった。それから凜はずっと一人で生活している。一人っ子だから兄弟もいない。
高校二年生になった今でも、そんな生活が続いている。

家に入り、玄関で荷物を下ろしていると、ピロリロリン、と凜の携帯が鳴った。
「メールかな、なんだろう」
そう呟きながら自分の部屋へと行き、さっきのメールを開いた。
「えぇっと…『あなたを招待します』…?」
その文章の下にはURLが載せられている。
怪しいな…と思い、そのメールを消そうとしたが、誤って違うボタンを押してしまった。
そして、なんとそのURLにアクセスしてしまった。
「あっ! どうしよ…」
そう呟いているうちに、携帯はそのURLのページを表示していた。
そのページは、シンプルな白の背景に、黒い文字でたった一言、「あなたを招待します」という文章が書かれているだけだった。
怪しくはなさそうだが、シンプル過ぎるのが逆に不気味だ。
「招待…か。不思議な世界にでも連れていってほしいな」
正直自分でも驚いた、自分がこんなことを言い出すとは思わなかったからだ。
すると次の瞬間、いきなり視界が真っ白になった。
「!?」
いきなりのことに驚き、声が出なかった。
だがやっと、視界が真っ白になったのではなくて、自分は眩しいんだと自覚でき、反射的に目を手で覆った。

―――今まで目を覆っていた手を離すと、そこには見たことの無い世界が広がっていた。
今自分のいるところは見晴らしの良い丘で、近くには緑の多い町がある。奥には大きくて豪華なお城があり、そのお城の奥には森が見える。
「ここ…どこなの?」
凜は唖然とした表情で、固まっていた。

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