フシギの世界へ

□第6話
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太陽の暖かな陽射しがとても心地良い。
そんな晴天の中、サイラと凜の二人は“広場”にきていた。
人がとても多く賑やかだ。
辺りにはたくさんの花が咲き誇り、色とりどりの商品のある露店がある。
中央には沢山の椅子やテーブルが置いてあり、お茶を楽しめるようになっている。
この世界では、このような場のことを“広場”というようだ。
「すごく華やか…素敵な場所ね!」
にこにこと微笑みながら凜がそう感想を述べる。
「しかも…沢山の人が集まるから情報だって聞ける。良い場所だろ?」
サイラの問い掛けに凜はコクコクと無邪気に頷く。
「じゃあ、手分けして情報収集しましょう」
その凜の提案にサイラは不安げな顔をする。
「けれど…凜、迷子にならないか?」
サイラの不安げな顔の理由がかわいらしく、凜はつい吹き出してしまう。
「私、方向音痴では無いから平気よ? …じゃあこうしましょう。1時間後にあそこで待ち合わせることにするの。」
そう言って凜が指差したのは高い時計台。「あれなら迷っても目印にできるわ」という言葉も付け足す。
「あれはこの街のモニュメントなんだぜ、良くできてるよな」
笑いながらそう解説するサイラ。それに凜は「うん!」と相槌をうつ。

それから二手に別れて情報収集を始めた。凜も早速近くのお店の人に聞く。
「その物語りは…確かに知っているけれど、そこまで詳しく無いな…」
そう言う店の人にペコリと頭を下げると「代わりにこれ、土産に」と菓子の詰め合わせをもらった。
御礼を言ってから、凜はまた他の人のところへ行く。
しばらくその活動を続けた。

ずっと聞き込みをし続けていたからか、なんだか疲れた…ぼーっとしながら歩いていると、ふと声をかけられる。
「お姉さん、何か探し物でもしているの?」
ぼーっとしていたせいで気がつかなかったが、凜は人の座るテーブルの前にきていた。
そして凜に話し掛けたのは12、13歳ほどの金色の髪をした少年だった。背中に大きな巻物を背負っている。
向かい側には青いフワフワの髪の、いかにも女の子らしい格好をした子が座っている。自分よりも一つ年上だろうか。
「ちょっと知りたいことがあったから、それについての聞き込みよ」
「へぇ、そういうことなら俺らを頼ってくれよ!」
青いフワフワ髪の子が元気にそう言う。
…俺?
確かに金色の髪の子は男だが…そっちのフワフワ髪の子は女の子に見える。
「一人称の言い方にとやかく言う筋合は無いかもしれないけれど…女の子なら“私”とかのほうが…」
そう言うとムッとした顔をしてフワフワ髪の子は言う。
「お、俺は男だ! 男の子だぁ!」
そして怒りに任せて彼はテーブルをバンッと叩く。するとメキッと音を立ててテーブルが真っ二つに割れてしまった。
確かにその怪力にも驚いたが、その容姿で男ということにも驚いた。
「あっ、やべ…」
苦笑を浮かべながら、彼は隣の席へ移動する。呆れ顔で少年のほうも席を移動する。
「怪力馬鹿が驚かしてごめんね。ここ、座って?」
少年が隣の席を指差しながら凜に座るように促す。凜も素直にそこへ座る。
「僕はイース・ディカ」
金色の髪の少年が自己紹介をする。
「怪力馬鹿じゃないやいっ! あ、俺はフィサ・ライ!」
フワフワ髪の青年がさっきの怒りも忘れてにこやかに自己紹介する。

この人達…本当に大丈夫なの…?

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