昼寝

□水平線上で青空が海に溶け込む
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私の誕生日。そろそろ誕生日に騒ぐようなこともやめようと思っていた。

私の誕生日。でも、それでも期待してた。

私の誕生日。両親は仕事に追われ、執事もメイドも何かあったのか顔色を変えて飛び出していった。

私の誕生日。友達もみんな忙しかったから、誕生会を開こうと言われたけど大丈夫と返した。

私の誕生会。それでも良かった。私はたった1人だけ……たった1人だけを、私は。





あなたに会いたいの





ベッドに押し込められてる時間は苦手だ。咳き込みながらも起き上がろうとすれば、寝てなさい。と布団を首元まで引き上げられた。
昨日はメイドのお子さんが大怪我をしたから病院に連れて行ったらしい。執事の方も、奥さんが事故にあったらしい。今朝になって色んな人に謝られた。



今朝1人で港にいるところを執事長に見つかった。
驚愕の声をあげた執事長に抱えられて家に帰る。
そのまま顔が赤いと体温をはからされ、表示された高熱にその場にいた全員が蒼白したのだ。

『お嬢様の誕生会でしたのに……1人にしてしまったようで、大変申し訳ございませんでした』

こう並ぶ使用人を見ると、うちは没落しかけ、といっても貴族なんだなーと思い出す。

『大丈夫よ。友達が誕生会を開いてくれたの。そのまま海を見てただけだから。だいたいもういい歳なんだから誕生日なんて』

むしろ歳をとることに恐怖すら感じるわ、と呟けば年配のメイドに怒られた。

「それにしても暇ね」

昨日は徹夜になったというのに、布団に押し込められても眠れないとは……。
柔らかいベッド、暖かい布団。先ほどは食べたくないと言ったのにおかゆを詰め込まれた。薬も飲まされて、体力的には寝なければいけないはずなのに。

「3ヶ月……」

高い天井に腕を伸ばす。
広い部屋にただ1人、私はここ3ヶ月ずっとこんな調子だったかもしれない。

「……はぁ。だめね」

ため息をつけば幸せが逃げていくことは知っている。熱があって身体がダルいのも本当だ。

「……ごめんなさい!」

心配してくれている皆には悪いけれど、音もなく起き上がり、着替えて、大きな窓から部屋を飛び出した。
向かう先はいつも同じ。

「今日は、帰ってくるかな?」

1日中、そこで待っているのは嫌いじゃない。
青と青との境目を見つけて、幸せに浸る。空の青が変化すれば、合わせて海の青も変わっていく。

「早く帰ってきてよ……もう、3ヶ月も待ってるよ」

次に会った時は……






──空と海の境目から、
─────────────
緊急企画始動!!(笑)
26日に発売のTOI-Rのカウントダウンをしようと思います。
テーマは「やっと会えたね!」
よし、がんばるぞ!
お付き合いよろしくお願いしますm(__)m

(20120121)


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