「城之内くんの髪ははちみつ色だね」
そんで眼はメープル色。
遊戯はそんなことを言った。
たまのバイト休み。暇だったらこない?なんて誘われて断るはずがない。
もうすっかり見慣れたド派手な色の家。いつものように声をかけるとカウンターからじいさんが孫を呼んだ。
遊戯は、いらっしゃいと笑顔で迎えてくれる。ちょっと前じゃ考えられないよな。俺とお前が親友なんて。
遊戯の胸元には今日もパズルが光っていた。
おじゃましまーすと断って家にあがる。階段を上がろうとしたときふいにいい匂いがした。でかい音が腹から鳴る。そういやもう昼過ぎか。
遊戯がぽかんと俺を見た。見上げる視線に恥ずかしくなる。
笑ってごまかそうとしたら腕をひかれた。
「いっしょ食べよう?」
そんなわけで今俺の前にはホットケーキがある。作り立てでホカホカだ。しかも遊戯の手作り。っても生地は作ってあったそうだから実際は焼いただけだけど。
つか、人んちの食卓に座るのってなんか変な感じがする。
……でも、なんか、うれしいよな。
テーブルには、はちみつ、メープル、バターものってた。そいつらを並べて見比べられる。何をって、オレとだ。
そして冒頭の言葉に戻る。
「じゃあお前の前髪バター色な」
「えー」
なんだよ。
甘いのがいいってなら後ろ髪はイチゴジャムか。
「ボクはパンかよ」
そういやどっちもどっちだよな。
だったらコレにも合いそうだ。
ほら、ホットケーキのことパンケーキって言うじゃん。なんでか知らねーけどさ。
「パンケーキのパンはフライパンのパンなんだって」
「そうなの?」
知らなかった。ややこしい名前つけやがって。
でも結構うまそうだと思う。
「俺バターつける」
「ジャムはないよ?」
「だいじょぶ」
ちょっと残念だけどな。
丸いホットケーキに薄くバターをぬりひろげる。かたまりも熱でじわじわ溶けた。
一口切って口に入れる。ほのかな甘みにしょっぱいのが広がってく。
ふわふわしたケーキは何かに似ていた。
なんだろ。