L×キラ(長編)

□第三章
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私は意を決して、月くんを優しく揺すった。



『月くん、大丈夫ですか?体調思わしくありませんか?』



『・・・』



月くんの瞼が開いて、アーモンド色の瞳が現れる。



ホッと胸を撫で下ろすと、優しく抱き締めた。



『中々起きないので心配しました。無理させてしまいましたか?申し訳ないです。』



『・・・』



『月くん…?具合悪いですか??』



『・・・』



その日、月くんが言葉を発する事は一度も無かった。


。。。。。。。



神経性のストレスから来る物で、一時的に声が出なくなってしまっているらしい。


初めは、私を困らせるつもりなのだと思ったが、本当に声が出なくなってしまったようだ。



何度か話させようと試みたが、無理だった。



聞きたかった事が、私の頭をグルグル回る。



神経性のストレス。



月くんをそこまで追い込んだ原因とは・・・



話したくないと言う気持ちの表れからだろうか・・・



静まり返る寝室で、月くんの瞳から涙が一粒零れた。



綺麗な透明の涙は頬を伝い、重力に負けてポトンと落ち、シーツを濡らした。



『無理に声を出そうと思ってもダメみたいです。きっと治りますよ。大丈夫です。』



私は、口唇を奪うと優しくキスをした。



月くんの声が戻りますようにと祈りながら、啄むようなキスを何度もした。



私の態度にホッとした顔をすると、柔らかい笑顔で笑った。



月くんは私の手を握ると、指で手のひらに文字を書いた。



【あ・り・が・と・う。】


ゆっくりと書かれた指文字は、はっきりと分かった。


『月くん・・・』



指文字はまだ続くようで、私の手のひらに文字が書かれた。



少し震えながら指を動かす月くんに不安になる。



【ぼ・く・が・キ・ラ。】


『・・・えっ?!』



まさか・・・



『月くん、すいません。少し分かりにくかったです。もう一度書いて頂いて良いですか?』



私は震えそうになる声を、我慢しながら、再度お願いした。



指に書かれた文字は、先程と全く同じ、



【ぼ・く・が・キ・ラ。】


だった。



つづく


Lにキラだと伝えた月。
声が出なくなる程、伝えたくなかった事を、指で伝えました。
次は第四章へ・・・
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