L×月(短編集2)
□透明の鎖
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私の可愛い可愛い月くん…
貴方と私は永遠に一緒です…
絶対離しませんから。
どんな事があってもです…
。。。。。。
月くんをキラ容疑で逮捕しました。
身柄は私が引き取り、死刑にはせず四六時中監視すると言う条件で。
皆は絶対反対だと抗議したが、私のありとあらゆる権力でその意見を捩じ伏せ今に至る。
デスノートの所有権を放棄させ、そのノート自体も焼却したので危険性は極薄だが、安心は出来ない…
私の目の前に居る月くんは手錠で繋いでいた時の綺麗なままだ。
だが一つその時と明らか違う事がある。
それは月くんの精神年齢が明らかに低い事だ。
二度に渡る所有権の放棄の影響か、はたまた別の何かがあるのかそれは分からないが、まるで子供の様にたち振る舞う月くんに最初は理解出来ずに頭を抱えるばかりだった。
原因ははっきり分からないが、1週間経っても2週間経っても症状は治らないまま。
あんなにピリピリと緊迫した空気がまるで幻だった様に、今、私と月くんを包む空気は穏やかだ。
私は月くんと暮らす為に海外に島を一つ買った。
もちろん膨大な敷地の広い城付きだ。
分厚い壁に囲まれた要塞の様な城。
厳重に警備されて人を寄せ付けない、私と月くんの城。
勿論ワタリも一緒です…
。。。。。。
『月くん、こちらへ来て下さい。』
『なぁに?』
月くんは首を傾げながら私の方へと歩いてくる。
見た目とはかけ離れて舌足らずな口調の月くん。
美しさは年を重ねるごとに増して、逮捕してから数年経つが昔と変わらず綺麗で美青年だ。
幼さが可憐で少し儚さも際立たせ、私を虜にする。
寄り添う様に体を預ける月くんの髪を撫でてキスを落とした。
『絵本を読むのもいいですが、お茶にしませんか?』
月くんは朝から書斎にある絵本をずっと読んでいた。
本当に信じられないが、月くんは幼い子供みたいに積み木で遊んだり、絵本を読んだり、かくれんぼをしたりするのが大好きなのだ。
『そうだね。ちょっと目が疲れちゃった。』
『ワタリに美味しい紅茶を淹れさせます。続きはまた明日にしましょうね。』
月くんと私はソファーに座りワタリの紅茶を待つ。
『あのね、王子様とお姫様、結婚したよ!』
嬉しそうに話す内容は絵本の事。
『それは、良かったですね。』
『うん!それでね、それでね…』
月くんは私の膝の上に座り、身振り手振りで内容を教えてくれた。
私は目を細めコクリコクリと頷きながら話を聞く。
ワタリのお茶を飲みながらの雑談は夕方にも及んだ。
一通り話終えて眠ってしまった月くんの頬を撫でてキスを落とす。
無邪気に眠る月くんは可愛くて可愛くて気が狂いそうだ。
抱き上げてソファーからベッドへと移動させ寝かせる。
華奢な体はしなやかで線が細い。
透き通るような肌は滑らかでキメ細かい。
細い手首を取り甲にキスをする。
手錠で繋げた手は綺麗に傷もなくなり、身体中全て美しい。
中性的な顔立ちは相変わらずで女性と見間違うくらい秀麗だ。
私好みに髪を少し伸ばさせサラサラとシーツを滑らせ眠る姿は、ため息が出るほど魅せられる。
月くんの昼寝が終わるまで探偵の仕事をして時間潰しです。
目を覚ましたら、長い長い夜の始まりです。
月くん、沢山愛してあげますからね…
つづく