L×月(短編集2)

□インフルエンザ
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今日は誕生日だと言うのに、月はベッドへと体を沈めている。


インフルエンザの猛威に負けて、高熱で病に伏せているのだ。


浅く早い呼吸と水分を多く含む瞳は、苦しいと密かに訴えていた。


『大丈夫ですか?』


竜崎が訊ねるが、話すと咳き込みそうで、首を横に振って返事をする。


喉がカラカラだか何も飲みたくない。


空腹な気もするが、食欲がない。


月は心の中で自分の体の弱さを呪った。


・・・なんで竜崎はこんなに平気なんだ・・・


捜査本部内は風邪が大流行している。


沢山の人が風邪やインフルエンザに倒れる中、竜崎は平然と普段通り甘い紅茶を啜っている。


『今日は月くんの誕生日だと言うのに、最悪な日になってしまいましたね…』


竜崎は汗で張り付く月の前髪をかきあげキスを落とした。


『弱った月くんもそそります。』


は?何を言ってるんだ…


月は急に風邪ではない悪寒を感じ体を強張らせる。


『りゅ…んぅ、ちょっ!っ…』


竜崎は額に落としたキスを今度は口唇に移動させ激しく舌を絡ませ始めた。


月が手で肩を押すも、熱が高くて大した抵抗も出来ない。


『んっ…ぁ…ンンッ…ばかっ!やめっ…』


ねっとりと絡む舌が月の口内を動き回る。


クチュと唾液が合わさる音がぼんやりとした頭の片隅で聞こえた。


『月…くん…』


ゆっくり口唇が離れる頃、月は更に潤んだ瞳で竜崎を睨み付けた。


『勃ってますよ…』


月は殴ってやりたい衝動に駆り立てられたが、手は全く動かず目尻に涙を貯めた。


『そんな顔しないで下さい。益々そそられます。』


竜崎の言葉に絶望を感じつつ、月はインフルエンザと言う猛威のウイルスを心底恨んだ。


『やりたいです…月くんも、その気でしょう?』


そう言いながら、下半身をまさぐる竜崎の手が下着越しに感じて、ヒクンと性器が震える。


じわっと先走りが溢れたのが分かり、竜崎にすがる様に身を寄せた。


つづく
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