L×月(短編集2)

□誘拐
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『月、ちょっと起きてくれるかな??』



ん??まだ僕眠たいのに、声がする。



???竜崎の声、いつもより少し低いような・・・



『僕、まだ眠たい…もん。』



僕は、目を擦ってギュッと抱きついた。



『おいおい、ちょっと可愛いすぎるよ…』



???



いつもの竜崎じゃない。



僕はゆっくり抱きついている人の顔を覗き込む。



『アイバーさん??』



僕の頭はまだ状況をはっきり掴めなくて、ビックリするよりも、きょとんと首を傾げた。



『そうだよ。ちょっと君を誘拐してみた。』



『ゆーかい??』



『Lと君が寝てる夜中に、こっそり君を拐ったんだ。』


徐々に、覚醒する頭…



『えー!どうしてそんな事??』



僕にはアイバーさんの行動の意味が分からない。


頭に???マークがいっぱい飛び交う。



『理由は単にしてみたかっただけだよ。』



『・・・』



アイバーさん凄いなぁ。


妙に感心してしまう。



『期限は今日の正午まで。それまでに月を見つけられたら、Lの勝ち。
見つけられなかったら、俺の勝ち。』



『・・・』



『Lが自分を助けに来てくれるか、知りたくない?』


『それは知りたいかも…』


『じゃあ、ゆっくりLが見つけ出してくれるまで待とう。』



アイバーさんは、ニッコリ笑った。



『・・・』



竜崎、助けに来てくれるかな??



でも、僕なんかが連れ拐われても竜崎知らんぷりかも・・・



『お腹すいてないかい?朝食にしよう。』



そういえば、僕はアイバーさんに抱きついたままだった。



『あっ。すいません!』



僕は慌ててアイバーさんから離れると、頬を赤くした。



抱きついたままだったなんて、なんだか恥ずかしい。


竜崎だと思い込んでいたから仕方ないけど、子供みたいと思われたかな・・・



辺りをぐるーっと見回すと、普通のワンルームのマンションみたいだった。



誘拐されたんだから、廃墟みたいな所を想像していたので意外だった。



『コーヒーはブラックで良かったかな?』



アイバーさんが戻ってきた。



つづく


竜崎は助けにくるのか…
世界のLなのに、月を誘拐されるなんて大失態です(笑)
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