L×月(短編集2)

□エイプリルフール
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今日はエイプリルフール。


竜崎は気づいてるかは、分からないけど…



『月くん、好きですよ。』

『いつも、可愛いですね。』



って、言ってくる。



褒めてくれるたびに、逆の事を言っていて、
ホントは可愛くないとか、キライだとか言ってるのかな。



頭の中は、竜崎の言葉がグルグル回って、複雑な気持ちだ。



『月くん、元気ないですね。どうかしましたか?』



不思議そうに、首を曲げて竜崎が聞いてきた。



『うん…。』



『可愛い顔が台無しです。よ』



竜崎が、ニッコリ笑った。


『・・・』



ほらまた。



でも、世界のLがエイプリルフールを忘れるとは思えない。



と言う事は、僕は可愛くなくて、キライだって言ってるんだ。



『竜崎、僕の事好き?』



『好きですよ。世界で一番好きです。』



『・・・』



僕の瞳から涙がこぼれた。


『僕は、竜崎の事大嫌いだからね。』



そう言うと、僕は竜崎に抱きついた。



『月くん…』



竜崎は優しく抱き締めてくれたけど、仕方なくなんだろうな。



竜崎はずっと無言で僕を抱き締めて、背中を撫でていた。



『私、月くんの事大嫌いです。』



『ホント?』



僕は、竜崎の胸から顔をあげた。



『今日はエイプリルフールだって事は、分かっていたんですが、
月くんの事をキライだなんて言いたく無かったんです。
次の日には理由を説明しようと思ってたんですが、月くんが泣いてしまったので焦りました。
不安な気持ちにさせてしまい、すいませんでした。』



竜崎は、僕に深いキスをした。



『ンッ、りゅう…アンッ。』



お互いの舌を絡めて、さっきの寂しかった気持ちを埋めるように、何度も口づけを交わした。



ゆっくり、口唇を離すころには、僕は完全に腰が抜けて、一人では立ってられなかった。



『月くんは、世界一可愛くて、世界一大好きです。』


竜崎は、時計をチラッ見たから、僕も時計に目をやる。



時計は零時一分を指していた。


『エイプリルフールは、終わりです。嘘は一切ありません。本当に大好きです。』



竜崎が、ニッコリ笑ったので、僕もつられて笑った。


『僕も大好きぃ〜。』



二人はもう一度、キスをした。



おしまい


元拍手文。

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