L×月(短編集2)

□仮病
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『りゅうざきぃ〜。僕、風邪引いたみたい。』



鎖で私と繋がれている月くんが、俯き加減でポツリと言った。



『えっ?!大丈夫ですか?』



私はソファーから立ち上がり、月くんのおでこに手をあてた。



『うーん、熱はあんまりなさそうですね…』



心なしか顔色が悪いみたいですね。



あまり無理は出来ません…



『少し横になりますか?』



私の問いにコクンと頷く月くん。



私は引っ張りすぎないように鎖を弛ませ、寝室へと向かう。



すると突然、後ろから月くんが抱きついてきた。



『僕、病人なんだからだっこ。』



『はい??』



『頭もフラフラするし、一人で歩けないからだっこ!』



『・・・』



なんだか怪しいです。


本当に風邪なんでしょうか…



疑いの眼差しで月くんをじぃーっと見ると、目を泳がせた。



『月くん、お口アーンしてみましょうか?私、医師免許持ってますんで…』



『えっ?!お口の中見せるの?!恥ずかしいから良いよっ。虫歯も無いし。』



『・・・』



益々、怪しいです。



『喉を見るだけですから、お口開けなさい。』



私は顎を持ち月くんの口を開けさせ、喉を確認する。



『月くん本当に風邪ですか?喉も腫れてませんし、健康そのものなんですが…』



私がジロリと月くんを睨むと、あたふたと焦り出した。



『喉は平気なんだ。そぅそぅ、頭が痛いんだった!』



思いついたように話す月くんに、言葉も出ない。



私が黙った事で、部屋が静まり返る。



『そんな事より竜崎、だっこ!』



潤んだ瞳で上目遣いで見上げてくる月くん。



正直可愛らしすぎて、今すぐにでもだっことやらをしてあげたい。



でも月くんは明らかに仮病。



どうしたら良いだろうか。



そうこう考えている間に月くんに抱きつかれてしまった。



『はやくぅ、だっこぉ。』



甘えた声でギュッとしがみつく月くん。



柔らかい髪が頬を掠め、シャンプーの良い香りがする。



可愛い月くん。



私はふわっと月くんを抱き上げた。



つづく


ショタ風味?月再び。竜崎が優しい(笑)
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