L×月(短編集2)

□竜崎先生と月くん
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今日は家庭教師の竜崎先生が来る日だ。


先生はどことなく不思議な雰囲気がして、一緒に居るとドキドキする。


正直な所、家庭教師なんて必要ない。

僕には勉強で解らない所が無いからだ。


いつも成績はトップだし、スポーツもそれなりに出来る。


もっとスキルを上げる為にと家庭教師を呼んだ母さんに、初めは嫌だったけど今思えば感謝してる。


―コンコン―


『は〜い!』

『竜崎先生、来られたわよ。』

『鍵開いてるから入ってきて〜!』


僕が返事をするとガチャリとドアノブが動いて、竜崎先生が入ってきた。


『こんばんは、月くん。』


『こんばんは、先生。』


何時見ても竜崎先生は格好いい。

思わず頬を赤らめてしまう。


竜崎先生は僕が座る椅子の横に座った。


するとふんわりと甘い香りがしてくる。


香水じゃ無い、お菓子の甘い香り。


僕は甘い物が苦手だけど、竜崎先生は大好きなんだ。


『先生、僕クッキー焼いたんだ。もし良かったら食べて?』


僕は小さな袋に詰めたハート型のクッキーを渡した。


『本当ですか?嬉しいです。ありがとうございます。』


フワッと柔らかい笑顔で見つめられて、ドキドキと胸が高鳴る。


竜崎先生は大切そうにクッキーの袋をカバンに入れると、僕をギュッと抱きしめた。


『もしかして私の事を考えながら作ってくれたんですか?』


『つっ・・・』


ボンっと顔から火が出そうな質問に思わずたじろぐ。


『ねぇ、月くん…』


耳元で囁かれる竜崎先生の低い声にゾクゾクと背筋が痺れる。


生暖かい吐息が首筋を掠め、僕は恥ずかしいくらい震えた。


しがみつくように竜崎先生の背中に手を回し、コクンと質問に対して頷く。


『それは嬉しいです。』


竜崎先生はニッコリ笑うと頬に軽くキスしてくれた。


『では、そろそろお勉強始めましましょうか?』

『はい、先生…』


そう返事したものの、実は耳元で囁かれた竜崎先生の声に感じてしまい、下半身が熱く疼いている。


たった声だけなのに…


シャープペンシルを持つ手は小刻みに震えて、モジモジと何回も足を組み替えてしまう。


『月くん…今日はいつもと違うお勉強しましょうか?』


『えっ?うわっ!』


竜崎先生はそんな僕を見て、ひょいっと抱き上げるとベッドに横たえた。


つづく
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