L×キラ(長編)

□第一章
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僕は記憶を取り戻した。



忘れていた記憶が頭の中に入って来たとき、嬉しい筈の僕が、泣きそうになったのを覚えている。



記憶が無かった時の僕は、なんて純粋だったんだろう。



自分の無実を晴らす為に一生懸命だったし、竜崎の事も慕ってた。



そして、何よりすごく好きだった・・・



キラの記憶の無い僕は、まるで初めて恋したかのように、竜崎に惹かれていた。



でもこれからは楽しかった生活は一変するんだ。



僕は新世界の神になる為、竜崎ことLを殺す。



・・・。



そう思うくせに、僕の気持ちはグラグラ揺れ動いて、
気をしっかり持たないと、弱音を吐いてしまいそうだ。



それくらい、僕は竜崎の事が好きになっていたんだ。


Lの竜崎とキラの僕。



世界にこれだけ境遇が反対の人は居ないだろう。



これからどうしたら良いのか迷うなんて。



僕をこんなに惚れさせるなんて、竜崎はスゴいよ・・・



。。。。。。。。



『ねぇ、竜崎。今、この部屋の監視カメラ全部止めてよ。』


突然フラッと捜査本部にやって来た月くんが、元気の無い声で言ってきた。



今この部屋には、私と月くんの二人だけ。



私がスイッチを押すだけで、監視カメラから、小さな声も拾う集音マイクまで止める事が出来る。



『月くん??急にどうしたんですか?その間に私を殺す気ですか??』



そう言うと月くんが少し傷ついた顔をした。



『やっぱり良い。今日は帰る…』



手錠生活が終わり、性格の変化が見られる月くんは、
切ない顔をしたり、急に怒り出したりと、多種多様だ。



月くんは明らかに、手錠を嵌めてた時とは違う。



まるで別人だ。



でも初めて大学で出会った時の懐かしさがある。



しかし、それも少し違う。



牙を剥き出しにしていた昔に比べて、儚さと幼さが垣間見られる。



何かに悩んでいるようだった。



今の月くんは一体誰なんだ。



『どうしたんですか?』



私が一歩近づくと、ビクッと怯えたように一歩下がる。



『やっぱり、今日は帰る。』



焦ったように、扉に向かって歩く月くんの腕をギュッと握って引き留めた。



つづく


L×キラ キラの記憶を取り戻しても、竜崎の事を好きな月。
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