L×キラ(長編)

□第二章
1ページ/4ページ

僕の涙腺はどうしてこんなに弱いんだろう。



止めどなく溢れる涙を、袖口で拭う。



目の前に散乱した札の束。


飲みかけのグラス。



そして、窓に映る自分の泣き顔。



好きな時に帰って良いとは言われたが、足が動かない。



帰りたくない。



嫌いになる様に接してほしいと言ったのは自分なのに、
悲しくて寂しくて気が変になりそうだ。



僕は、グラスに残っていたお酒を一気に飲んだ。



『りゅう…ざきぃ…』



小さな声で竜崎を呼んだが、聞こえる筈がない。



竜崎が出て行った扉を見つめた。



僕は一つため息をつくと、重い腰を上げた。



帰ろう・・・



ここから家までは少し遠いが、竜崎のお金でタクシーには乗れない。



この時間なら、バスや電車が動いてるが、今の顔を誰にも見られたくない。



気持ちの整理もしたいし、歩いて帰ろう。



僕は足に力を入れて歩き出した。



『アッ…レ…??』



僕の足は全く言う事を聞かず、その場にへたりこんでしまった。



思いの外、酔いが回っていてその場から立ち上がれない。



早く帰らなくちゃと、気ばかり焦る。



上手く体を動かせない僕は、しゃくりあげるように泣いてしまった。



頭がグルグルして、少し気持ち悪い。



『りゅ…りゅう…んっ、んっ。』



僕は、泣きながら竜崎を呼び続けた。



。。。。。。。



隣の部屋からドサリと音がする。



月くんが倒れたんだろうか・・・



慌てて、部屋を飛び出し見に行こうとしたが、思いとどまる。



私の事をキライになりたがっているのだ。



行く必要がない。



暫く悩んでいると、泣きながら私を呼ぶ声がする。



優しくされたくないと言ったり、泣きながら私を呼んだり、困りましたね。



私は大きなため息をつくとドアを開けた。



『月くん大丈夫ですか?』


私は動けない月くんを抱き上げ、ソファーに座らせた。



『んっ、んっ…ごめっ…歩けなくて…』



『あんな、飲み方をするからです。水を持ってきますから、待ってなさい。』



私は、軽く怒りながら言うと、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出した。



『これでも飲んで、酔いを覚ましなさい。』



つづく


酔っぱらいキラです。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ